コロナ禍でも重要なエキストラの存在

コロナ禍の影響を大きく受けた映像エンタメ業界

テレビドラマや映画、コマーシャルフィルムといった映像作品において、より自然な画作りをする上で「エキストラ」というのは非常に重要な存在です。撮影に際して出演者だけではなく演出を担当するディレクターや、撮影を担当するカメラマン、衣装を担当するスタイリスト、出演者の髪型を担当するヘアメイクとった多くのスタッフが集まる必要のある映像作品の現場においては、新型コロナウィルスの感染拡大を大きく受けました。

バラエティ番組などは、出演者を自宅や事務所からリモート出演させることで何とか乗り切る番組が多くありましたが、外出自粛要請が出された時期にはドラマや映画は撮影自体がストップしてしまうといった事態にも陥りました。

その影響は計り知れず、映画は公開延期を余儀なくされたり、ドラマの場合は放送までの撮影ストックが無いため、放送自体を後ろ倒しにするなど2020年のテレビ業界にとってはドラマ放送の「クール(1月放送開始、4月放送開始、7月放送開始、10月放送開始)」の定義が曖昧なものになりつつあると言えるでしょう。

それでもその重要性を増すエキストラの存在

密閉・密集・密接のいわゆる3蜜の回避、出演者・スタッフのPRC検査/抗原検査の受診、出演者はリハーサルまでマスク・フェイスシールドの着用をおこない、本番のみマスクを外して演技をするといった対策をして、外出自粛が解除されて以降、徐々に撮影は再開しており、感染対策を徹底しながらも映像作品の制作は活気を取り戻しはじめました。

コロナ禍の影響で、リモートワークや不要不急の外出を避ける傾向が強くなっているとは言え、街から人が完全に消えたわけではありません。映画やドラマ、コマーシャルにおいても、コロナ前と変わりなく主人公や周囲の出演者だけではなく、ある程度人が画面の中に入っていないとどうしても映像を見た時に不自然に感じてしまいます。

撮影現場にとっては難しい対応とはなりますが、メインの出演者以外にも多くのモデルやエキストラをキャスティングし、周囲に配置することで自然な街の賑わいを作らなくてはなりません。通勤風景や、公園で遊ぶ子供たち、メインの出演者には多く絡むことはないもののオフィスにいる同僚、レストランで食事する他の客といったように、メインや脇を固める俳優への寄りのアングルだけで構成するのが難しいシーンにとっては、特にモデル・エキストラという存在が重要になるのです。

コロナを逆手に取ったドラマなども登場、それでもキャスティングの重要性は変わらない

バラエティ番組がそうであったように、リモート撮影だけで行われたドラマや、兄弟・家族で活躍している俳優だけに絞ったキャスティングとすることによって感染拡大に配慮するという変わったドラマも登場しました。

特にドラマはその時代を映す鏡のような存在ではありますが、後年に配信や映像ソフトになった際に見た人に強い違和感を与えないための普遍性も持ち合わせている必要があります。「コロナ禍の日本」という時代設定で展開するドラマでれば人が少なくとも構わないでしょうが、そうでない場合には必ずエキストラの存在が必要になるのです。

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